バトナージ(その54) ヤライ「見るがいい。これこそが、艱難辛苦のすえ手に入れた、切り札だ」 ミライ「こ……これって……」 ユウキ「「ま、まさか……、 炎のドラム!?」 ヤライ「ご名答。これは、巨大火山に眠りしヒードランが守護していた、炎のドラム。 7つの秘宝の内の1つだ」 ユウキ「も、もしかして兄さんは、これを探すために、この街を離れていたんですか?」 ヤライ「その通り。 ヨウジには迷惑を掛けてしまったからな。 せめてもの償いにと思い、こいつを見つけ出してきたのだ」 ミライ「ヤライ兄さん……。ちゃんと、ヨウジ兄さんのことを考えててくれたんだ……」 ユウキ「見直しましたよ、兄さん! これで、ヨウジを説得しつつ、ゴーゴー4の活動も再開できますね!」 ヤライ「うむ。さっそく、ヨウジの元へ向かおう。 今も、ポケモンセンターに居るのか?」 ユウキ「ええ。 3日前に様子を見に行きましたが、ロビーのソファーに寝転がっていましたよ」 ◆ ジョーイ「ようこそ、ポケモンセンターへ。今日は、どのようなご用件でしょうか?」 ヤライ「ああ。ここで厄介になっている弟を引き取りに――」 ミライ「ヨウジ兄さん!?」 ユウキ「ッ……!? どうしました、ミライ!?」 ミライ「ヨウジ兄さんが……、ヨウジ兄さんが…… ロビーでコイキング売ってるッ!!」 ユウキ「えぇえっ!?」 ヨウジ「お……? ユウキ兄ィにミライじゃねェか。 あと1人は……、ええと、誰だったかな。思い出せねェや、ハハハ」 ミライ「うわぁ、険悪……」 ユウキ「そ、それよりも、ヨウジ。 何ですか、この、水槽に入った大量のコイキングは……」 ヨウジ「見りゃ分かんだろ。商売だよ商売。コイキングを売って日銭を稼いでんだ。 カネが無けりゃメシは食えねェしな」 ミライ「……ヨウジ兄さん……」 ユウキ「ヨウジ。意地を張るのは、もう終わりにしましょう。 こんなことをして何になるんです」 ヨウジ「カネになる」 ユウキ「いえ、そうではなく――」 ヨウジ「それより、1匹買ってかねーか? ユウキ兄ィたちなら、5000円でいいぜ」 ミライ「高ッ!!」 2009/06/29(月) |