バトナージ(その54)

ヤライ「見るがいい。これこそが、艱難辛苦のすえ手に入れた、切り札だ」
ミライ「こ……これって……」
ユウキ「「ま、まさか……、

    炎のドラム!?」
ヤライ「ご名答。これは、巨大火山に眠りしヒードランが守護していた、炎のドラム。
    7つの秘宝の内の1つだ」
ユウキ「も、もしかして兄さんは、これを探すために、この街を離れていたんですか?」
ヤライ「その通り。
    ヨウジには迷惑を掛けてしまったからな。
    せめてもの償いにと思い、こいつを見つけ出してきたのだ」
ミライ「ヤライ兄さん……。ちゃんと、ヨウジ兄さんのことを考えててくれたんだ……」
ユウキ「見直しましたよ、兄さん!
    これで、ヨウジを説得しつつ、ゴーゴー4の活動も再開できますね!」
ヤライ「うむ。さっそく、ヨウジの元へ向かおう。
    今も、ポケモンセンターに居るのか?」
ユウキ「ええ。
    3日前に様子を見に行きましたが、ロビーのソファーに寝転がっていましたよ」



ジョーイ「ようこそ、ポケモンセンターへ。今日は、どのようなご用件でしょうか?」
ヤライ「ああ。ここで厄介になっている弟を引き取りに――」
ミライ「ヨウジ兄さん!?」
ユウキ「ッ……!?
    どうしました、ミライ!?」
ミライ「ヨウジ兄さんが……、ヨウジ兄さんが……

    ロビーでコイキング売ってるッ!!」
ユウキ「えぇえっ!?」

ヨウジ「お……? ユウキ兄ィにミライじゃねェか。
    あと1人は……、ええと、誰だったかな。思い出せねェや、ハハハ」
ミライ「うわぁ、険悪……」
ユウキ「そ、それよりも、ヨウジ。
    何ですか、この、水槽に入った大量のコイキングは……」
ヨウジ「見りゃ分かんだろ。商売だよ商売。コイキングを売って日銭を稼いでんだ。
    カネが無けりゃメシは食えねェしな」
ミライ「……ヨウジ兄さん……」
ユウキ「ヨウジ。意地を張るのは、もう終わりにしましょう。
    こんなことをして何になるんです」
ヨウジ「カネになる」
ユウキ「いえ、そうではなく――」
ヨウジ「それより、1匹買ってかねーか? ユウキ兄ィたちなら、5000円でいいぜ」
ミライ「高ッ!!」
2009/06/29(月)