バトナージ(その51)

ヨウジ「ああ、めんどくせェ! これ以上、ヤライ兄ィのムダ話しに付き合ってられっか!」
ユウキ「どこへ行くんです?」
ヨウジ「ポケモンセンターだよ、ポケモンセンター。
    こんなトコに居るよりゃ、あっちのほうが、いくらかマシだ」
ユウキ「あ、それでは、帰りに、パーツショップで、
    このメモに書かれている物を買ってきてもらえませんか?」
ミライ「わたしは、コンビニで、ケーキとプリン」
ヤライ「ジャンプを頼む。トリコと、めだかボックスの続きが気になるのでな」
ヨウジ「人をパシリ扱いすんな!」

ユウキ「あ……」
ミライ「行っちゃった……」
ヤライ「むぅ……。今日は、調子に乗りすぎたか」
ユウキ「今日どころか毎日でしょう、兄さんは」
ヤライ「そういうおまえこそ、ヨウジに買い物を頼もうとしていたじゃないか」
ユウキ「たしかに頼みましたけど、あれはヨウジのためだったんです」
ミライ「……どういうこと?」
ユウキ「見て下さい。先ほど、ヨウジに渡そうとしたメモを」
ヤライ「む……、これは……、楽器のパーツの買い物メモか」
ユウキ「ええ。ヨウジの小太鼓を修理しようと思いまして」
ヤライ「そうだったのか。ユウキが真剣にゴーゴー4のことを考えているというのに、
    俺たちときたら、私欲に駆られてばかりいる――。恥ずかしいことこの上ないな」
ミライ「そうね。ちょっと反省」
ユウキ「いえいえ。僕も、先ほどまで、バネ祭りに参加していて、
    一段落したから修理を始めようと思ったワケですし、文句は言えません」
ミライ「え……? 今、なんて?」
ユウキ「バネ祭りです。
    月に1度、バネ好きたちがネット上でバネの祭典を行うんです。
    手持ちのバネをデジタルカメラで撮影し、その画像をネットに上げて、
    優秀作品を選んだり――」

ヤライ「それは……何が面白いのだろうか?」
ユウキ「何って……、
    バネの造形美を、仲間たちと評価し合ったり競い合ったりできるんですよ!?
    これ以上、心躍るイベントは、他に存在しません!」
ヤライ「ぬぅ……。とてつもない気迫……。
    ユウキにとっては、よほど大切なイベントなのだな」
ユウキ「当然です」

ミライ「……ええと……、それはともかく、ヨウジ兄さんを追わなくていいの?」
ユウキ「あ、それもそうですね! ヨウジを捕まえて、謝らないと!
    ――兄さん! ミライ!」

ミライ「ケーキとプリン、よろしくー」
ヤライ「ジャンプと、エヴァンゲリオンウエハース」
ユウキ「兄さんたちも行くんですよっ! ていうか、買う物、増えてるし!」
2009/06/04(木)