バトナージ(その45)

ユウキ「いよいよ今日ですね、『ポケモン不思議のダンジョン 空の探検隊』の発売日」
ヤライ「ああ。
    空の探検隊をプレイし、魅力的なレビューを行えば、俺たちの評価はウナギのぼり。
    再び、ゲームに出演することだって夢じゃない。

    あの平社員め、俺たちの存在を失念していたことを後悔させてやる」
ミライ「だったら早く買いに行きましょ。予約はしてあるのよね?」
ヨウジ「まだ、ポケモンセンターの開店時間にもなってないぜ。
    予約してあんなら焦るこたぁねェだろ。朝メシ食ってからでも――」
ヤライ「愚か者め。
    ポケモンに限らず、ゲームソフトというものは、発売日に、開店前から店舗に並び、
    朝一で手に入れることが醍醐味なのだ」
ヨウジ「は? 興味ねーよ、そんな自己満足。今日でも明日でも十分間に合うだろーが」
ヤライ「情緒が分からない弟め……。
    おまえの行為は、『発売日を平日の木曜ではなく休日の土曜にした社員の気遣い』
    を踏みにじるものだと、理解できないのか?」
ヨウジ「ヤライ兄ィみてェなヤツが、
    平日の真っ昼間からゲームを買いに行かねェための対策だろ。
    誰のせいで土曜発売になったと思ってんだ。
    つーか、学校行ってなけりゃ木曜でも土曜でも変わんねーし」
ヤライ「フン。おまえごときのレビューでは、空の探検隊の魅力は伝わらないだろうな」
ヨウジ「レビューの上手さたぁ関係ねェだろ」
ヤライ「とにかく、今すぐポケモンセンターに向かうぞ。
    出来ることなら列の先頭に立ちたい」
ユウキ「それでは、身支度を整えましょう」
ミライ「前売り券を買うお金も用意しないとね」
ヤライ「前売り券……?

    何だ、それは?」
ユウキ「え……? いえ、だから前売り券ですよ。
    『劇場版ポケットモンスター アルセウス 超克の時空へ』の。
    空の探検隊と同じく、今日が発売日じゃないですか」
ミライ「まさかヤライ兄さん、忘れてたんじゃ……」
ヤライ「そ、そんなわけないだろう!

    明日になってから購入しても十分間に合うだろうと踏んでいるので焦ることは――」
ヨウジ「おいコラ」
2009/04/18(土)