バトナージ(その39)

ヤライ「ではスリーパー。まずは俺の特性を返してくれ」
スリーパー「……(コクリ)」



ヤライ「――ん……、うう……」
ミライ「どう? ヤライ兄さん」
ヤライ「……ん……、ああ、どうやら首尾よく戻してくれたようだ。
    無性にギターをかき鳴らしたく……なって……き……た……」
ヨウジ「おっと!」
ミライ「ヤライ兄さん!?」
ユウキ「大丈夫ですよ。不眠の特性が消えて眠れるようになったんでしょう」

ヤライ「……Z……Z……」
ヨウジ「マジだ。いびきかいてやがる」
ミライ「はぁ……、よかったぁ……」
ユウキ「ええ、本当に……。兄さんが廃人にならずに済んでなによりです。
    ――スリーパーさん。もう、ポケモンの道を踏み外すようなことはしないで下さいね」
スリーパー「……(コクリ)」
ユウキ「素直で助かります。――これで、スリーパー編、完結といったところですね」


ヨウジ「あーあ、安心したらドッと疲れが出てきたぜェ」
ミライ「ずっと気を張り詰めっぱなしだったもんね〜」
ナツメ「しかし、まだ1つ問題が残っている」
ユウキ「え?」
ナツメ「私は今朝方、たしかに部下を1人送り出した。
    にも関わらず、おまえたちと接触したのはハンサムという胡散臭い男のみ。
    私の部下はどこへ消えた?」
ユウキ「そういえば――」
若い男の声「失礼します! ナツメどの! ただいま戻ったのであります!」
ナツメ「ああ、ちょうど、おまえの話しをしていたところだ」
ユウキ「ナイスなタイミングですね」
ナツメ「――おまえには、スリーパー事件の被害者への事情聴取を任せていたハズだろう。
    今まで何をしていた?」
ナツメの部下「はっ! 申し訳ありません!
    わたくし、被害者宅への道中で野生のポケモンに襲われていたのであります!」
ナツメ「野生のポケモン……?」
ナツメの部下「はっ! 人通りもまばらなガード下を通りかけた際、
       ジュペッタの襲撃を受け、意識を失ったのであります!
       気が付きましたら、わたくし、病院のベッドで点滴を受けておりました!」
ヨウジ「……」
ナツメの部下「その後、急ぎ、被害者宅へ向かったのでありますが、
       留守のため、こうして戻ってきた次第であります!
       ――あ! わたくしの体については心配無用!
       医師の診断によると、さして珍しくもない栄養失調とのことでした!
       現在は体調万全! 眼が冴えて仕事への意欲が沸き上がっております!」

ユウキ「……」
ミライ「……」
ヨウジ「……無限ループって恐くね?」
2009/03/07(土)