バトナージ(その37)

ヤライ「この男は、あなた方が派遣した警察官だと聞いているが?」
ナツメ「しらん。この男とは面識がない。――いったい何者だ?」
山本「フフフ。よくぞ聞いてくれた。ワタシは、世界を股にかける国際警察の一員!
   コードネームは、ハン! サム! しゃきーん!」

ナツメ「……しらん」

山本「……」
ミライ「あーあ、落ち込んじゃった」
ナツメ「な、なんだ? 私のせいか?」
ユウキ「いえ、そういうワケではありませんけど……」
ヤライ「一応、フォローを入れておくか。

    ――うーむ。
    それにしても、先日の『クイズプレゼンバラエティーJさま!!』は盛り上がったな。
    とくにロバート山本の活躍がめざましかった」
ユウキ「え……? あ、はいはい、そうでしたね!
    秋山さんや馬場さんも面白いですけど、やっぱり山本さんが1番ですよね!」
山本「そうだろう、そうだろう! ワタシも、山本クンが最も優秀な芸人だと思うんだ!」

ヨウジ「た、立ち直りはえェな……」
ナツメ「――それで、ベンサム」
山本「ベンサムではない! どこのミスター2・ボン・クレーだ! ハンサムだハンサム!」
ナツメ「ああ。――で、その国際警察のハンサムが何の用だ?」
山本「うむ。じつはこの街に、ある組織の残党が潜伏しているらしくてね――」

ヨウジ「ヤ、ヤライ兄ィ!」
ヤライ「あ、ああ! オレたちの情報が警察に渡るのは危険極まりないぞ!」
ミライ「どーしよう!?」
ユウキ「何か妙案は――」

山本「あ、コレ、警察手帳ね」

ヤライ「むっ――!? これだ!

    ――おい! 待ってくれ! 伝えなければならないことがある!」
山本「なんだい? 話しの途中だからあとで――」
ヤライ「その男が手にしている手帳は偽造だ! そいつは国際警察なんかじゃない!」
ナツメ「なに……?」
山本「な、ななな何を言うんだヤライクン! ワタシは正真正銘の――」
ユウキ「ぼ、僕らもさっき、その手帳を見たんです! おそらく偽造で間違いありません!」
ヨウジ「つーか、そいつ、芸人だしな!」
ミライ「うんうん!」
ナツメ「……なるほど……。調べてみる価値はありそうだな……」
山本「ア、アナタまで何を――」
ナツメ「おい。この男を取り調べ室までご案内しろ」
山本「え? あっ! うわっ! な、なんだキミたちは!?」
ユウキ「ああっ! 山本さんが、2人組の屈強なプロレスラーに連れて行かれます!」
ミライ「いったいどんな取り調べが待ってるっていうの!?」
山本「秋山、馬場、たすけてーっ!!」
ナツメ「おまえたちには関係のないことだ。どうせもう会うこともないだろう」
ヨウジ「マジで何されんだよ」
2009/02/21(土)