バトナージ(その36) ミライ「このドアの向こうに犯人が……」 ユウキ「緊張してきましたね」 ヤライ「だが、立ち止まってはいられない。 こうしているあいだにも俺の体は蝕まれているのだ。――行くぞ」 ヨウジ「おう!」 ◆ ユウキ「失礼します」 ロングヘアーの女「来たか……」 ヤライ「――先ほど連絡を受けた、被害者のヤライだ。 ――そこに居るスリーパーが犯人の……?」 ロングヘアーの女「ああ。念視でそいつの頭の中を覗き見た。間違いない」 ミライ「あれ……? あの髪の長い女の人――」 ヨウジ「ん? どした?」 ユウキ「どこかで見たような……、 ――あっ! あの人、ナツメさんですよ! 超能力捜査官の!」 ヨウジ「へ? たまにテレビで見るアレか?」 ユウキ「ええ。人間でありながらエスパーポケモンの力を行使できるといわれる女性―― 超能力捜査官のナツメさんです!」 山本「さらに、彼女は、ここヤマブキシティのジムリーダーでもある。 数年前、格闘道場の師範を不可思議な技を以って伏し、 ジムリーダーの座を勝ち取ったそうだ」 ユウキ「つまりナツメさんは、エリカさんと肩を並べるほどの実力者。 この短時間で犯人を捕らえることが出来たのも納得です」 ヤライ「……スリーパー……、いったいどうしてあのようなことを……」 スリーパー「……」 ナツメ「黙っていても私には分かるぞ。――派遣切り――だな?」 スリーパー「ツッ……!?」 ミライ「は、派遣切り……?」 ヤライ「そういえば聞いたことがある。 ポケットモンスタープラチナの発売に際し、 シンオウ地方のポケモンリーグチャンピオンがトリトドンをリストラしたという話しを」 山本「もしかして、このスリーパーも?」 ナツメ「ああ。似たような境遇らしい。つまりコイツは、トレーナーに捨てられたワケだ」 ミライ「そ、そんな……」 ナツメ「職を失い、食うに困っていたところを、 偶然通りかかったおまえの、音楽家としての才能に目をつけたそうだ」 ヤライ「なるほど……」 山本「ヤライクンはバンドグループ、ゴーゴー4のリーダーだからね。 ヤライクンの特性を奪って、音楽関係の仕事に在りつこうとしたんだろう」 ナツメ「そういうことだ。 ――と、いうか―― さっきから当然のカオして会話に参加してるオマエは何だッ!!」 山本「き、気づかれたかッ!!」 ヨウジ「そりゃ気づくだろ」 2009/02/15(日) |