バトナージ(その34)

山本「ん? どうしてキミがそんなコトを知っているんだい?」
ヨウジ「え? あ、えっと、そいつァ……」
ヤライ「言動に気をつけろと言ったそばから迂闊な反論――。
ヨウジ、そのツッコミグセをなんとかしろ」
ヨウジ「オレにツッコミグセが付いたのはヤライ兄ィのせいだろ!」
ユウキ「と、とにかく、早く言い繕わないと――」
ヤライ「ツッ……!? ぐゥッ!!」
ミライ「ヤ、ヤライ兄さん!?」
山本「これはいかん! キミの体は限界近くまで疲労が蓄積しているようだ。
   ゴーゴー団に関する話しは後日に回すとして、今は事情聴取を優先し、
   スリーパー事件の解決に全力を注ごう」
ユウキ「は、はい! お願いします!」

山本「事態は一刻を争う。ワタシの質問に慎重かつ迅速に答えていってくれ」
ヤライ「う、うむ……。分かった……」
山本「まず、キミの名前は?」
ヤライ「ヤライ」
山本「では、ヤライクン。キミがスリーパーと出会った場所は?」
ヤライ「初めて足を運んだ場所だったので記憶が曖昧だが、すき家周辺のガード下」
山本「時間は?」
ヤライ「昼前――午前11時30分ごろ」
山本「ふむ……。襲われた原因に心当たりはあるかい? 誰かの恨みを買っているとか」

ユウキ「あ、ありすぎて困りますね……」
ミライ「エンテイとか操って大災害起こそうとしちゃったもんね」

山本「答えにくいか……。
   まぁ、無理もない。――ワタシも、ゲストとのポケモンバトルに敗北したときは、
   戦術の甘さを馬場に咎められることがあるんだ。
   ワタシのせいでポケサンチームの勝率が下がっているとしたら
   恨みを買っているかもしれないね。
   ――もっとも、秋山が群を抜いて弱いから、ワタシが叩かれることは無いだろうけど」

ヨウジ「秋山とか馬場とか、素に戻ってんぞ。ハンサムじゃねェのかよ、オイ」
ユウキ「シッ。声が大きい。聞こえてしまいますよ」

山本「答えたくないのならば無理にとは言わない。――そうだな……。質問を変えよう。
   ヤライクンの嫌いなものは何だい?」

ユウキ「なるほど。これなら先ほどの訊き方と比べて答えやすいですね」
ミライ「でも、ヤライ兄さんの嫌いなものってレンジャーユニオンの人たちだろうし、
    正直に答えたら結局疑われるんじゃ……」

ヤライ「俺の嫌いなもの……。そうだな……。

    ――努力は怠り、金欲は人一倍強く、粗暴を隠さずふてぶてしい振る舞いを見せる、
    小太鼓を抱えた大男」
ヨウジ「オレかよッ!!」
2009/01/30(金)