バトナージ(その28)

ミライ「病院で点滴って……。
    そんな大事なこと、なんで今まで黙ってたのよ!」
ヤライ「いや。とくに話す必要はないだろうと考えてな。
    医者に、タダの栄養失調と診断されたもので」
ヨウジ「医療ミスだろ、ソレ……」
ミライ「とにかく、そのスリーパーが怪しいっていうのは間違いないわね」
ヤライ「まぁ、いま思い返すと疑わしいのはあのスリーパーだな」
ヨウジ「でもよ、スリーパーに眠らされたっつーハナシはしょっちゅう聞くが、
    不眠症にされたっつーのは聞いたコトねェなァ……」
ヤライ「うむ。スリーパーについて、さらに詳しく調べてみる必要がありそうだ。
ミライ、本棚にあるポケモンの攻略本を取ってくれ」
ミライ「あ、うん!」

ヨウジ「どうだ、ヤライ兄ィ?」
ヤライ「ううむ……。『なやみのタネ』は覚えないか……」
ミライ「他に相手を眠らせないようにするワザっていえば、『さわぐ』があるけど、
    これも覚えないし……」
ヤライ「――む……!? まてよ……。
    ――スキルスワップ……、これだ!」
ヨウジ「な、なんだよ? どういうこった?」
ヤライ「スリーパーの特性は『ふみん』、または『よちむ』。
    つまり、俺の出会ったスリーパーが不眠持ちで、
    スキルスワップを使用したと考えれば……」
ミライ「!?……。そ、それよっ! それだわ!」
ヨウジ「ちょっと待て!
    たしかにイイ線行ってるかもしんねェが、スキルスワップは特性を入れ替えるワザだろ?
ヤライ兄ィの特性ってなんだよ? 人間にもあんのか?」
ミライ「う……、それは……」
ヤライ「――ふむ……。
    では、おまえたち。俺に特性が備わっているとすれば、どういったものだと推測する?」
ミライ「自分勝手」
ヨウジ「クソ兄貴」
ヤライ「酷い言いようだな。
    ――というか、もはやタダの悪口と化しているぞ」
ミライ「――う〜ん……。
    じゃあ、ヤライ兄ィさんは自分にどんな特性があると思ってるの?」
ヤライ「――ううむ……。自身の個性を語るというのはなんとも気恥ずかしいが……。
    ――そうだな……。

    おそらく、『家族想い』といったところか」
ヨ・ミ「それはない」
2008/12/17(水)