バトナージ(その6) ヨウジ「だから、『カイリキー』の『はんげき』は、気絶した直後でも発動すんだよ!」 ヤライ「ほう。気絶したポケモンが、どうやって反撃するというのだ?」 ヨウジ「死に際に一糸報いるって展開、あるだろーが!」 ヤライ「漫画じゃあるまいし、そんな都合のいい展開があるわけないだろう。 カイリキーの特殊能力は気絶した直後では発動せん。これが俺の答えだ」 ヨウジ「往生際が悪りィぞ、ヤライ兄ィ! このポケモンカードオフィシャルブック2000にも書いて――」 ユウキ「大変です、兄さん!」 ヨウジ「うおぉッ! オレのポケモンカードが吹っ飛んだ! もう少しで勝てたのに、なにしてくれんだ、ユウキ兄ィ!」 ミライ「どうしたの? ユウキ兄さん。そんなに慌てて」 ユウキ「――あ、あの人が……。エ、エリカさんが来ているんです!」 ヤライ「――な、なんだと……?」 2008/05/24(土) ヤライ「まぁ、何も無いところだが、これでも飲んでゆっくりして行ってくれ」 エリカ「すみません。突然、お邪魔してしまって。じつは早急にお知らせしたいことがありまして」 ヤライ「早急に知らせたいこと?」 エリカ「はい。先日、ゴーゴー4の皆さんの存在を、テレビ局の方たちに紹介しました」 ヤライ「おお! 約束どおり、やってくれたのか。感謝するぞ」 エリカ「いえいえ、どういたしまして。 それで、プロデューサーの方が『その、ゴーゴー4っていうコたち、そんなに凄いの? だったら1度連れて来てよ。エリカちゃんが評価してるなら期待できそうね』っと、おっしゃって下さいました」 2008/05/24(土) ヨウジ「え……? マ、マジかよ!? プロデューサーって、テレビ番組の偉いやつだろ? そんなスゲェやつが、オレたちの実力を知りたいって言ってんのか? からかってんじゃねーだろうな?」 エリカ「ええ。ぜひ1度、テレビ局のほうへ足を運んでほしいと、おっしゃっていました」 ユウキ「ま、まさか、こんなに早くチャンスが訪れるなんて……」 ミライ「地道にがんばった甲斐があったわね!」 ヤライ「――エリカ嬢……。何と礼を言えばいいか……」 エリカ「いえいえ、お気になさらないで下さい。 私としても、あなたがたのような素晴らしいバンド広めることが出来て、嬉しい限りです!」 ユウキ「ついにテレビ関係者の前で実力を披露するときが来たという事ですね!」 ヨウジ「ああ。こいつァ、燃えてきたぜ!」 ミライ「そうと決まったら特訓よ! なんとしてでも、プロデューサーに好印象を与えるの!」 エリカ「がんばってくださいね。私も影ながら応援しています」 ヤライ「あなたには本当に感謝している。この1歩は、ゴーゴー4にとって、非常に大きな1歩となるだろう」 エリカ「何事も、最初の1歩を踏み出すことが肝心ですからね。ジムリーダーの仕事も同じなんです。 恐れずに最初の1歩を踏み出す――ジムリーダー検定試験へ足を運ぶこと。大切な1歩です」 ヤライ「そうだな。立ち止まっていては何も変わらない。変えることなど出来ない。 だからこそ、俺たちは最初の1歩を踏み出すのだ。 たとえ、志半ばで打ちのめされ気絶しようと、何度だって立ち上がり、再び1歩を踏み出して見せるさ」 エリカ「素敵です……。ヤライさんは、たゆまぬ鋼の心を、お持ちなのですね」 ヤライ「あ、そうそう。気絶で思い出したのだが、聞いてもいいか?」 エリカ「なんでしょうか?」 ヤライ「カイリキーの特殊能力は、気絶した直後には発動しないよな?」 ヨウジ「その話しは、もういいっつーのッ!!」 2008/05/24(土) |