バトナージ(その5)

テレビ「この夏、ポケモンたちは感謝の光に導かれる!」

ヤライ「ついに、今年の映画のキャラクターたちが発表されたな」
ユウキ「ええ。今回の悪役は『ゼロ』という謎の青年だそうです」
ヤライ「ゼロだと……? もしかして、その男には、目と足が不自由な妹が居たりしないか?」
ユウキ「いえ、そんな発表はありませんけど……」
ヤライ「緑色の髪をした女と契約しているとかは?」
ユウキ「た、たぶん無いと思います……」
ヤライ「本当か? 隠しているんじゃないのか?
    絶対遵守の力を行使したり、黒の騎士団とかいう組織を――」
ヨウジ「往生際が悪りィぞ、ヤライ兄ィ」
ヤライ「むぅ……。俺の予想はハズレたか……」
2008/04/28(月)
ミライ「へー。ゼロは、メガリバっていうハイテク母艦を持ってて、
    それを、メイド型人工知能に操縦させてるらしいわね」
ヨウジ「狙いすぎだろ……」
ヤライ「素晴らしいじゃないか。ハイテク母艦にメイド型人工知能。男のロマンだな」
ヨウジ「ま、たしかにハイテク母艦は憧れるけどな」
ユウキ「そんな優れものを以前の僕たちが所持していたら、
    ゴーゴー団の勝利は確実だったでしょうね」
ミライ「そうよねー。レンジャーユニオンの人たち、兵器らしい兵器は持ってなかったし」
ヤライ「その点は俺たちも同じだがな。この機会に小型の兵器を手に入れるのも悪くないか」
ヨウジ「はぁ? 今さら、んなモン手に入れてどうすんだよ」
ヤライ「ゴーゴー4のパフォーマンスに使用するとか」
ユウキ「街中で銃器のたぐいを振り回したら拘束されますよ」
ヤライ「そういえば、この国には銃刀法違反というものがあるのだったな。不便なことだ」
ミライ「でも、危険な物を取り締まるっていうのは、そんなに悪いことじゃないと思うわよ?」
ヤライ「武器の所持は、民主主義国家において、民衆に与えられるべき根本的権利の一つ。
    この国の民主主義とは名ばかりだな」
ユウキ「独裁制を築こうとしていた僕たちが言うのも、おかしな話しですけどね」
ヤライ「俺たちが目指していたものは独裁制の支配ではない。
    あくまでも、ゴーゴー団による平和的な統治だ」
ユウキ「支配も統治も変わらないと思いますが――」
2008/04/28(月)
ヨウジ「あー、政治の話しはやめろ! 耳が痛くならぁ」
ミライ「そうね。それより、もうすぐ夜になるし、今日の晩御飯を考えましょ。
    わたしは、にしんと昆布の煮物がいいと思うんだけど」
ユウキ「春らしくていいですね。僕も賛成です。兄さんもいいですか?」
ヤライ「俺は、たらの芽の天ぷらが食べたいのだが……」
ヨウジ「ここは、民主主義ってことで、支持の多い煮物だな。平和的な統治だろ? ヤライ兄ィ」
ヤライ「フン……。民衆は王に従っていればいいものを」
ヨウジ「それが本音かッ!!」
2008/04/28(月)