バトナージ(その3)

テレビ「日本人よ! 私は帰ってきた!」

ヤライ「日曜の夕方といえば、やはりコードギアスだな」
ミライ「ねー」
ヨウジ「そんなに面白いか? コレ」
ヤライ「何を言う。圧制に苦しむ国民が武器を手に取り立ち上がる。
    これ以上、野心溢れるシチュエーションはそう多くあるまい」
ヨウジ「でも、テロなんか起こしたってカネになんねーしよ。
    オレァ、カイジのほうが好みだな」
ヤライ「やれやれ、二言目にはカネ。おまえは金のことしか頭に無いのか?」
ヨウジ「そりゃそーだろ。先立つものはカネってな」
ヤライ「愛や信頼は金銭では買えぬと言うのに」
ヨウジ「バカ言え。カネさえありゃあ大抵のモンは買えるだろーが。
    ヤライ兄ィは夢見すぎだっつーの」
ヤライ「フ……。金銭に固執する人間の醜きことよ。
    そもそもカイジは一攫千金を狙う夢のある話しのハズだが」
ヨウジ「り、理屈っぽいな。ホントに……」
2008/04/15(火)
ユウキ「ただいま帰りましたー」
ミライ「あ、ユウキ兄さんおかえり! どこ行ってたの?
    今日は姿が見えないから気になってたのよ?」
ヤライ「そうだぞユウキ。遊びに行くのだったら俺たちも誘ってくれ」
ユウキ「ふぅ……。兄さんのおかげなんですけどね」
ヤライ「ん? どういうことだ?」
ユウキ「この間、ゴーゴー4の宣伝をしてくれた女の子居るでしょう?
    あの子に会ってきたんですよ」
ミライ「え? あの小さな女の子?」
ヤライ「な、なんと……。ついにユウキにも春が来たということか。めでたいな!」
ユウキ「あのですねぇ……。全部兄さんのせいでしょ!
    兄さんが、宣伝の見返りに僕を好きにしていい、なんていう勝手な約束をしたから――」
ヤライ「まぁ、そう言うな。あの少女、なかなかいい子だと思うぞ」
ユウキ「そ、それはそうかもしれませんが、歳が離れすぎていますし……。
    あ。それよりも大切なことを思い出しました!
    街を歩いていたら、僕たちのファンになってくれた和服の女性に会ったんですよ!」
ミライ「あら? ユウキ兄さんは年上のほうが好みだったの?」
ユウキ「そういう意味じゃありません! ホラ、覚えているでしょう? あの女性」
ヨウジ「ああ。オレらのことを、お笑い芸人と勘違いしてた女だろ?」
ユウキ「そうです。それで初めて会ったときからずっと引っかかっていたんですよ。
    見覚えのある顔だなぁ……、と。
    ですから先ほど、彼女の職業について伺ってみたのですが、これが大当たりでして」
ヤライ「大当たり……? どういう意味だ?」
ユウキ「聞いて驚いてくださいよ? なんと彼女……、
    タマムシシティにあるポケモンジムのリーダーだったんですよ!」
2008/04/15(火)
ヤ・ヨ・ミ「な、なんだってーっ!?」
ユウキ「僕も驚きました。まさか、あの人がそんな地位に居たなんて……」
ミライ「ポ、ポケモンジムって、この地方の各地にある、ポケモンバトルの実力者が集う施設のことよね?」
ヨウジ「マジかよ!? あの女、そんなすげェヤツだったのか!」
ヤライ「つまりユウキ。これはチャンスということだな?」
ユウキ「ええ。タマムシジムのリーダー、エリカさんといえば、かなりの大物です。
    これは僕たちが求めていた、コネを手に入れる大チャンス。この機を逃すわけにはいきませんよ」
ヨウジ「あったりめェだろ! こうしちゃ居られねぇ。急いであの女のトコに行くぞ!」
ユウキ「そう言うと思って、すでに、タマムシジムの場所は聞き出してあります」
ミライ「さすがユウキ兄さん! でも、ポケモンジムって簡単に入れてもらえるものなのかしら?」
ユウキ「エリカさんは『いつでも遊びにいらして下さいね』と、言っていましたから問題は無いと思います」
ヤライ「しかし、無事に入れたとしても、頼みごとをするのに手ぶらではマズイ。ここはひとつ……」
ヨウジ「ん? なんだ? 封筒……?」

ヤライ「万札……、2、3枚で足りるだろうか」
ヨウジ「信頼はカネで買えないっつってただろッ!!」
2008/04/15(火)